ありがとう
昨日の夜には小さな心臓が頼りなくトクントクンと小さく波うっていた。
あと数時間だな、と冷静な自分もいる。
声をかけても反応はなかった。
意識はなかったのかもしれない。
最後に名前を呼びながらフワフワの毛並みに顔を埋めて、ありがとう、ありがとう。と声をかけた。
明け方に虹の橋を渡った彼は全ての苦痛から逃れて楽になったかな?
彼の心臓が止まったことを確認した時に何故か涙が出なかった。
そのまま淡々と今日中に火葬してくれる業者を探す。
寝ている家族も起こさず、いつもの日常を過ごした。
洗濯をし、朝ごはんの用意、他のネコ達や犬の世話。
一人の子がいないだけ。
他の部屋で寝ている時と全く変わらない。
本気で泣くのはいつなのかな?
明日からのいつもの生活に違和感なく戻ることはできるのかな?
彼が元気でやんちゃな頃。
私のお気に入りの写真。
ありがとう、本当にありがとね。
ゆっくり安らかにね。