トロンボーンとの出会い
楽器を始めたのは小学生の頃の鼓笛隊から始まる。
鼓笛隊ではトロンボーンなどはなく、最初は中太鼓という楽器からスタートした。
他の子たちは小太鼓、スネアドラムをかっこよく叩いていた。
バチも違う。
中太鼓は私には魅力がわからなかった。
他の中太鼓をやっていた子たちはどうだったろう。
後半になりやっと音階のある楽譜がもらえて嬉しかった。
トランペットだ。
毎日休み時間の度に音楽室に楽器を吹きに行った。
上手いも下手もわからなかったけどとにかく楽器が楽しかった。
中学に入り、もちろん吹奏楽部に入り、先輩たちの演奏を見学した。
楽器の種類が増えて、いろんな音域が目の前で音を出している。
プロのオーケストラにでも入り込んだぐらいの衝撃だった。
私の母はピアノをやっていたので子どものころに連れて行かれたコンサートはピアノリサイタルばかりだった。
トランペットをはじめてからはオーケストラのレコードを毎日何十回も聞いていた。
それが今目の前で聞けているのがとても楽しかった。
しかし、私はトランペット以外の楽器は考えていなかった。スッぺの軽騎兵のユニゾンを吹くトロンボーンを面白いとは思ったがパッとしない楽器だと思った。
結果、私はそのパッとしない楽器、トロンボーンをやることになった。
号泣した。
その後数十年たった今、トロンボーンでベートーベンの第9に苦労することになるなんて誰が予想できただろう。